慌てなくとも、意図せずとも
電車の中で、優先座席の前に手押し車のおじいさん。赤ちゃんを抱いた女性が譲ろうとする。
おじいさんは、「何いうてんの、あんた赤ん坊抱いてるのに。あかんあかん」
気づいた隣のサラリーマン二人が慌てて立って、「すみません〜」って言って、おじいさんに譲る。
丸く収まる。サラリーマン二人は立ってつり革に手をかけ沈黙している。
一見サラリーマンに、おいおいって思うかもしれないけれど、気づかなかったんだよね。僕もよくある。
僕たちは、気づかないうちに、大切なことを見落としてしまう。
重要なことが、知らない間に入れ替わってしまう。
でも、このサラリーマン二人は、こうやって思い出せたし、行動に移せた。きっと沈黙しながら、外を見つめながら、何かを感じているに違いない。
そして、その小さなドラマから、僕も何かを感じ取って誰かに伝えている。
日常の中で、意図せぬ気づきの風が、あちらこちらに吹いているのだなぁ〜と、ちょっと嬉しく思えた。
意図せずとも、本当は、人は自然と調和してゆくんだね。ちょっとした雨や嵐に心が持っていかれそうになるかもしれないけれど、慌てず落ち着いて、じっと見てろ。
必ず調和して、形になってゆくもんだ。